銀行員から見た「家」と「ローン」
銀行の融資部門で働くと、いろんな人が家を買う場面に立ち会うことになります。そしてこう思います。
「俺、家欲しくない」
何もかもが不透明な家
ここで言う家とは、何千万という金額のついた建売住宅のような完成された家のとこだと思ってください。
金額が不透明
当然のように数千万円という値段がついていますが、その数千万円はどこの誰の何にかかっている金額なのか考えたことがありますか?
ここで何割が材料費で何割が仲介業者で…という話をしたいわけではありません。誰が何をしてくれてその金額になっているのかも知らないまま、つまりその家の価値を知らないまま人生で一番大きな買い物をしようとしてませんか。ということです。
材料が不透明
その家が何で出来ているのか知っていますか?知る必要があるかと言われればそれまでですが、それほど優れていない、見た目がいいだけの板でできた箱に何千万も払っているかもしれないという意識は持つべきです。
企業は、見た目はそのままにいかにコストを下げて利益を出すか、という努力を日々しているのですから。
将来の価値が不透明
建物としての資産価値が上がる下がるという話ではなくて、自分にとって将来も価値があり続けるかということです。
一生その場所に住み続けたいのか。(仕事に決められた場所じゃないか)
子どもも欲しがってくれるだろうか。
10年後のことなんて全く想像できません。あなたは10年前と今の趣味趣向は同じですか?そういう風に考えると、今の自分の感覚だけで30年40年住む家を買ってしまうなんて無謀すぎます。
返済方法が不透明
家を買う=今の仕事を最低でもローンが終わるまで続けるという約束を結ぶようなものです。
さて、本当に今の仕事、今の収入が20年後30年後も続いているでしょうか。公務員でもない限り、そんな保証は一切ないのです。
高いとか安いとかそういう問題じゃない
今は確かに史上最低の金利水準です。お金を借りるなら絶好のチャンスと言えます。人口が減って新築需要も弱くなっていますし、デフレ続きで家自体の値段もさがっているのかもしれません。
ただ、それは歴史的・経済的にどうかという話なだけであって、本当に重要なのはあなたがその家に対してそれだけの価値を感じるかということです。
「この家は材料も造りも最高だし、自然災害の影響も少ない立地だ。日当たりも風通しも申し分ない。これでこの値段ならかなりお得だな。」というように自分の希望に当てはめてどうだから割安、割高と考えるべきであって、不動産市場がどうとか、業者が勧めているからとか、そんな情報ははっきり言って無意味です。
ちゃんとあなたが欲しいものを選ぶ
「みんなが欲しがるようなもの」ではなくて「自分だから欲しいもの」を選びましょう。そうすれば結果的に何十年先も後悔しない、みんなからもいいねと言ってもらえるものに自然となると思います。
主人公はあなた!素敵なわが家に出会えますように。
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