清貧の食卓〜からだによければ地球によい〜(魚柄仁之助著)を読んで「食」の最低限を知る

2017.1.19


​「食」に関する情報というのは、これまでがそうであったように、どれが本当に良くてどれが本当に悪いのかがわからないまま飛び交うような状態が今後もずっと続くことでしょう。

私自身もどうにかして本当の情報だけを掴んでやろうと試みてはみましたが、やはり研究者でもなんでもない素人にはそんなことは不可能でした。

そこで私が考えたのは、本当の情報だけを追い求めるのではなくて、「最低限これだけは抑えておこう」という基準を自分の中で持っておくという方法です。

 

最低限を知るには最適の本

著者の魚柄仁之助さんは、実家が古典料理屋だったこともあり、現在はさまざまな角度から食生活を科学する食生活研究家として活躍している方です。

特に家庭料理の質的向上を目指していて、「いかに家庭によりよい食生活をもたらすことができるか」という考え方をされているので、主張ひとつひとつが優しく、実践しやすい内容となっています。

例えば、食生活の改善についてはこのように書かれています。

あれもダメ、これもダメ、これを食べなきゃ死ぬ、などという食生活などナンセンス。

 

持続性を持つには、健康的であり、手軽であり、おいしく安くつくって食べられるという条件が必要です。だって、それだけ条件がそろえば、やめる理由、やめたくなる理由がないからです。

 
あぁ、頑張らなくてもいいんだ。頑張る食生活っておかしいんだ。

ということに気付かされます。
 
 

化学調味料について

現代の食生活改善といえば、まず話題にあがるのが化学調味料。これは避けて通れない問題です。

化学調味料について、魚柄さんはこのように述べています。

料理屋側の論理、加工食品会社側の論理を考えますと、食品添加物や化学調味料などを使用することを一方的に「悪」とは決めつけられません。他社の食品と競い合うのですから、よりうま味を出さないと売れなくなってしまいます。…(中略)企業経営の論理においては、化学調味料を使うことが「悪」なのではなく、経営が成り立たないことが「悪」なのです。

 

正にその通り。

なぜ化学調味料というものがこれだけ社会に浸透しているのかも考えずに、頭ごなしに「絶対ダメ!」と否定するのはただの思考停止です。

こういう背景を理解した上で、どうすればより自然に食生活の質を上げていくことができるのかを考えたいですね。

ちなみに魚柄さんは化学調味料漬けの食生活から抜け出すための方法として、味覚の活性化を勧めておられます。

化学調味料がからだに悪いとわかっていながら、やめきれない人も、味覚というもの、味というものを正しく知れば、化学調味料よりもっとおいしいだしもとれるようになりますし、数週間、味覚をおたやかにすることで、化学調味料の味を気持ち悪くさえ感じるようになります。

 

根底にあるのは、完全な正解はまだ誰にもわからないということ

「あれがいいらしい」、「これは悪いらしい」という情報はこれまで何度も上書きされてきました。これからもそうでしょう。

今の正解は10年後の正解とはきっと違います。

ですので、やはり正解を追い求めるよりも「これは何年経ってもそうだろう」という、最低限を抑えておけばいいのだと思います。

最後にこの本で私が学んだ最低限をご紹介しておきます。

今の自分のからだにとって、何がどのくらい不足していて、何が過剰かと言われても、そうそうわかるものではありません。ですから、いろいろな食品を少しずつ食べ合わせるのです。

 

食材選びはあまり神経質にならずに、まあ、こっちのほうがまだましか、程度のおおらかなリストラを進めていきたいものです。

 
 
皆さんもぜひ、まずは昨日の自分よりましな選択をする、というところから始めてみてはいかがでしょうか。


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