公開日:2017.7.23
最終更新日時:2017.7.23

農林水産省による「農業競争力強化プログラム」について未来の農家が思うこと


平成28年に、農林水産省から「農業競争力強化プログラム」なるものが発表されました。

農業者の所得向上を図るためには、農業者が自由に経営展開できる環境を整備するとともに、農業者の努力では解決できない構造的な問題を解決していくこ とが必要である。

このため、生産資材価格の引下げや、農産物の流通・加工構造の改革をはじめ13項目について以下のとおり取り組み、更なる農業の競争力強化を実現する。

農林水産省から「農業競争力強化プログラム」概要資料より

 
 

農業競争力強化プログラム概要

 

1.生産資材価格の引下げ

日本の農業資材は、世界的にみるとかなり割高です。
肥料、農薬、飼料、機械、全ての資材価格が、アメリカの倍もするらしいです
理由としては、複雑な流通構造や非効率な生産体制があげられます。

肥料で8割、農薬や機械で6割のシェアを持つ巨大な事業体である農協は、独占的な力を利用して、組合員に高い資材価格を押し付けてきた。

日本農業は世界に勝つ | キヤノングローバル戦略研究所(CIGS)

 
農協は企業ではなく”組合”なので、独占禁止法は適用されないんですね。

この現状に対し、農協による生産資材の調達方法や法規制の見直しなどによって、国際水準に合わせて価格引き下げを目指そうというものです。

 

2.流通・加工の構造改革

既存の卸売市場流通の場合、農協などの出荷団体の段階で30~40%、小売りで40%のマージンが発生しており、農家の手取りは販売価格の20~30%にしかならない。

流通改革で手取りが倍に~直売所が描く農業の未来:日経ビジネスオンライン

業界再編により、中間流通業者への販売中心から、消費者への直接販売中心にシフト。

それによって効率的・機能的な流通・加工構造にし、適正な価格での販売を実現するというものです。

 

3.人材力の強化

新規就農者が営農しながら経営能力の 向上に取り組むために、各県に「農業経営塾」を整備。

そのほか、法人雇用を含めた就農等を支援したり外国人材の活用も強化するとのこと。

4.戦略的輸出体制の整備

日本版SOPEXAの創設。

これは、各産地の事情や食文化に詳しい専門家が常駐して、ブランディング・プロモーションから販売促進まで、顧客の要望に応じて柔軟に支援する組織なんだそうです。

なんかすごそう。

 

5.原料原産地表示の導入

現在は22食品群及び4品目のみに限られていますが、
全ての加工食品について消費者がより適切に食品を選べるように、全ての加工食品について原料原産地表示を導入。
 

6.チェックオフの導入

チェックオフとは、すべての生産者から強制的にお金を集めて、国内外での販売促進や調査・研究等の事業を生産者等が主体となって実施する制度のこと。

米国、カナダ、豪州、韓国等で実施されているそうです。

 

7.収入保険制度の導入

適切な経営管理を行っている農業経営者の農業収入全体に着目したセーフティネットを導入

・ 青色申告している農業経営者が加入
・ 農業収入全体を対象
・ 過去5年の平均を基準収入とし、収入減 の一定部分を補てん ・ 保険方式と積立方式とを併用

今年のような大雨で、米農家なんかは大打撃を受けますからね。
そういうときのための保険があること、新しく農業を始めようとする人の不安も取り払えるかもしれません。

 

8.土地改良制度の見直し

農地の集積・集約化を進めるため、農地バンク(農林水産省が運営するシステム。貸し農地を借りて一括管理し、借りたい人につなげる仕組み。)で管理している農地の整備を無償で行う。

 

9.農村の就業構造の改善

地域の資源を活用した産業も含め、サービス業など農村での立地ニーズが高い産業が対象となるように制度を見直し、地域の方々が働く場所を確保する。

10.飼料用米の推進

耕種農家と畜産農家の連携により、飼料用米を輸入とうもろこしの代替品として利用するだけでなく、その特徴を活かして畜産物の高付加価値化を図る取組等を推進する。

 

11.肉用牛・酪農の生産基盤強化

 

12.配合飼料価格安定制度の安定運営

肉用牛・牛乳乳製品の安定供給を確保するため、繁殖雌牛の増頭、乳用後継牛の確保、生産性の向上、自給飼料の増産等を推進。

 

13.生乳の改革

生産者が自由に出荷先を選べる制度に改革。
指定団体以外にも補給金を交付するなど。

 
 
 
とまぁこんな具合に、農業の海外での競争力を高めるための計画が立てられているわけです。

 
 

未来の農家が思うこと

今年から農業法人で農業を始め、これから自分たちの農地を購入しようとしている私の目線で、このプログラムについて思うこと。
 

海外と同じ土俵に立つべきはない

インターネットが普及していなかった時代のやり方のまま成り立っているのが農業ですから、このような改革で、今の時代に合わせた運営ができるようになるのであればとても楽しみですね。

しかし、注意したいのは外国との戦い方。

大規模化・効率化で戦うのではなく、日本の土地や気候を活かした作物の生産を売りにして、外国との差別化を図るような農業になればいいと思います。

土地の広さに関しては、アメリカやオーストラリアに敵うわけがありませんから、そことの価格競争なんて無駄な話です。

「作物の生産」に対しての効率化には必要以上に取り組まないでおくべきです。
 

モデルケースがほしい

新規就農に至るまでに、どのようなステップをふんで、お金はどのぐらい必要で、収入はどのぐらいなのかという情報がないと、「農家になるとどんな生活になるのか」ということが想像できません。

今の若い人は、事前に調べて不確実な要素をなるべくなくさないと、そこに踏み込めないという人が多いと思います。

いくら業界の改革を行っても、成功している存在が実際に目に見えないと若者は農業をやろうと思わないでしょう。

それを解消するために、農家の生活を想像する手段としてモデルケースをつくること、そしてそれを発信することが必要だと思いました。
 

農業はもっとおもしろくなる!

これは間違いない。

国が、良し悪しは別にして、環境をガラッと変えようとしている。

それによって顔ぶれが変わって、ライバルが増えて売り出し方も多様化する。
今までスポットが当たらなかった人にスポットが当たる。

こんなおもしろい業界、他にはない。
ほんといいタイミングで田舎にやってきたもんだ。



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