勉強不足な消費者と稼ぎたい企業と空き家問題
売れるから建てる
空き家問題。
対策はいろいろ考えられていますが、なかなか根本解決にはいたりませんね。
こんなに家が余っているのに、なぜ企業は家をどんどんつくって、人もどんどん家を買うのでしょうか。
住宅・建設業界は事業リスクが低い!
家を売るのって、売れなかったときのダメージが大きくてリスクが高そう
と思われがちですが、
そもそも注文も売れる見込みもないのに家をつくるわけがないし
売った時点でお金が入るので建設費はすぐ回収できるし
売ったあとの維持管理は買った人の責任なので、売りっぱなしで済む。売ったもん勝ち。
というやり方なので、実は事業性を確保しやすい業界なんです。
そうじゃなかったらこんなに不動産会社が乱立しないでしょ。
ただ、泳ぎ続けないと死んでまうマグロと同じで、家をつくって売り続けないと経営があっという間にもたなくなるというのも事実。
根強いマイホーム購入派の存在
もうだいぶと
「今どき30年ローンでマイホームって…大丈夫?」
という考えが広まってきてはいますが、やはりいまだにいるんですね。新築でマイホーム購入する人たちが。
こういう人たちのおかげで、建設業界は今もバンバンCMをうち、家を建て続けられているわけです。
なんでなかなか減らないのでしょう?
一番の理由は、勉強不足。
「親も買ってるし」
「広告もたくさん出てるし」
「減税されるし」
「資産になるし」
「ステータスのひとつ」
もちろん家を買うことに対する憧れを持つのは悪いことではないし、
国が新築の家を買うことを推奨するような政策をとっている部分もあるので、こういう理由で家を買うのが100%悪とは言えません。
けど、もう少しお金や将来のことを教えてくれる人に恵まれれば、違う選択をしたという人はたくさんいるはずです。
資本主義のえじきになる人たち
国は当然、お金がどんどん使われることを一番の目的として運営されますから、
拡大したいのは中古市場よりも新築市場だし
空き家問題の解決のためにお金がたくさん使われればそれでいいし
極端な話、自分の後の世代でどんなことが起こるかよりも、今のGDPとか支持率のほうが大切。
だから、
支持を集めるために
「空き家で困る人たちのためにも政策を打ち出してますよー」
と言いながら、新しく家を建てることは全く問題視しない。
それどころか、減税などで優遇する。
「20年後、30年後までそのローンが本当に払えるのか。」
そういうことを真剣に考えずに、
銀行が貸してくれるから買う!という安易な考えの人たちがそれに乗っかる。
まさに資本主義のえじき。
この勉強不足の人たちと、とにかく稼ぎたい企業が組み合わさって生まれる空き家問題。
資本主義という仕組みに従い続ける限りは解決しないでしょうね。
さらに拍車をかける賃貸アパートの乱立
空き家の半分以上が賃貸物件なんだそうです。
そして、その賃貸空き家は年々増えています。
それなのに、新しい賃貸アパート建設に減少する様子はありません。
一番の目的は、「税金対策」です。
高齢化と相続税の改正にともなって、節税のための土地活用として賃貸アパート建設がより活発に行われるようになりました。
「30年一括借り上げ」の罠
私も銀行でアパートローン担当をしていたとき、次から次へとアパートを建てる人を見て
バカなのかな?
と思っていました。
広告でよく目にしますが、「30年一括借り上げ」というサービスがあって
建設したアパートを業者が一括で借り上げてくれて、手数料を払う代わりに空室の有無にかかわらず30年の家賃収入を保証してくれるんです。
それだけ聞いたらそりゃあやりますよね。
アパート経営者もどんどん増えるわけです。
しかし、当然そんな簡単な話ではありません。
家賃保証というのは、利益が出る水準を保証しているわけではなくて、数年ごとに家賃の見直しがされるため、
あまりに入居率が低い状態が続くようであれば大家さんに支払われる家賃が減額することだってあるんです。
借り上げる業者と建設会社はグル
この一括借り上げサービスでは多くの場合、借り上げる業者と建設業者は関連企業で、
建設された時点の売上でほとんどの利益をだせるようになっているのです。
つまり、一括借り上げサービスはアパートを建ててもらうためのツール。
ちゃんと企業が損しない仕組みになってるんですよ。
まぁ当然と言えば当然ですが。
これが資本主義社会。
お金の勉強をせよ!日本人!
これに対して
「なんてひどい会社だ!」
と怒るのは本当のバカ。
そういう仕組みの社会であることを勉強して、理解するべきなのは消費者側です。
空き家問題解決のためにも税金がどんどん投入されていくでしょうが、それも勉強不足の代償と言わざるを得ませんね。
資本主義に流されるだけじゃなくて、本当に自分が30年後、そして次の世代まで豊かに暮らせるための選択をしましょうよ。ほんとに。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません