公開日:2021.2.13
最終更新日時:2021.2.13

「日本の家は不健康住宅」は本当か


日本の家についての評価を見てみると、

 

日本の家は夏暑すぎて冬寒すぎる

世界的に見て性能が最低レベル

家の中で命を落とすなんてありえない

 

ということがよく言われています。

これらのことについて少し考えてみたいと思います。

 

ここで言う「日本の家」は、一軒家のことを指します。

まず事実として言えることは、確かに日本の家は最新のものを除いて気密性、断熱性が劣っており、家の中の温度が一定に保たれていないのが一般的です。

そのため空調の効いた部屋とそうでない部屋の温度差が大きく、入浴の前後でヒートショックが起こり毎年多くの高齢者が亡くなっています。

年齢に関係なく、寒い家は体に悪い(風邪を引きやすかったり、体の痛みの原因になったりする)という研究結果もあるようです。

 

ということで、「日本の家は不健康住宅」という指摘はあながち間違いではないことがわかります。

 

そもそもなぜ日本の家はそのような造りになっているのかというと、戦後の復興需要に伴って”質より量を”という家づくりが優先されたためです。

断熱材なし、窓はアルミサッシで、高断熱とは程遠い家ばかりなのが現状です。

特に日本は多湿のため、気密性を保ったまま湿気の制御をするのが技術的に難しかったという問題もありました。

 

国によっては気密性と断熱性についてきちんと基準を設けて質の悪い家が建てられることのないように規制されているのですが、日本でそれはまだ未整備です。

2020年に省エネ基準(断熱基準)を義務化する計画があったのですが、「住宅の省エネはコストパフォーマンスが悪く、施主に強制はできない」という理由で国交省が延期を決めたようです。

建物の性能向上にかかるコストが暖房費削減により何年で元がとれるかを示す試算がされていますが、戸建住宅ではペイされるまでの期間が22年~44年と非常に長いことがわかっています。

加えて、基準を設けたとしてもそれを完全に満たす家を建築できる技術を持つ業者が少ないという問題もあるようです。

 

つまり、「全部高性能な家にしたいけど、そんなの高すぎて買える人がほとんどいないし、建てられる業者もいねぇよ。」という状況なのです。

国が建築にかかる費用と業者の技術向上の支援をするのが理想ですが、その期待は薄いでしょう。

 

 

不健康住宅の話に戻ります。

日本の家は不健康と言っても、「何と比べて不健康なのか」という点が重要でしょう。

どんな家でもそれより良い環境と比べれば”不健康住宅”になるのは当然です。

 

日本の不健康住宅でも大勢の高齢者が元気に暮らしている(なにせ平均寿命世界一!)ことを考えると、一概に日本の家=不健康住宅とは言えなさそうです。

でなければ、高気密高断熱の家以外に住む人はみんな不健康ということになってしまいます。

 

要するに、「お金さえ出せば(そして良い業者に出会えれば)高気密高断熱の”超健康住宅”は建てられるよ」というのが今の日本の現状だと言えるでしょう。

 

そもそも日本では、一戸建て住宅はかなりの贅沢品だという認識が薄いという問題があります。

いくら健康住宅でも、経済的に不健康で生活が苦しくなるようでは元も子もありません。

 

それでも不健康住宅に耐えられないという人は、常夏の国に住むか、比較的空調効率の良い築浅マンションに賃貸で住むべきでしょう。

 

 

長くなりましたがまとめると、

お金さえ出せば高気密高断熱の健康住宅を手に入れられるが、現時点ではとんでもなく高い。

そうでない家は体への負担は確かにあるが、工夫して(頭を使って)その負担をなるべく減らして住むという方法もある。

どうしても気になる人は(または体の弱い人は)常夏か築浅マンションに賃貸で住むべき。

ということです。

 

日本もやっと省エネについて本格的に議論し始めたので、延期になった基準整備もまた近々進み出すでしょう。

非常に大きな問題であるがゆえに、簡単に答えが出ない部分です。生産側も消費側も、引き続き勉強が必要ですね。



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