高気密高断熱を推進するための「ヒートショック」という脅し文句
家を建てる予定なんて一切ないのに、家づくりに関する考察が止まらない。
今日は、「ヒートショックは本当なのか」というお話。
2020年12月、2021年2月の2回にわたって週刊新潮で「年間2万人 風呂場の急死は「ヒートショック」ではなかった!」という記事が掲載されました。
記事の内容を簡単に。
・厚生労働省は2012年、入浴関連の事故について大規模な調査を行い、その結果が2019年に日本内科学会英文誌などに発表された。
・年間2万人超と推計される風呂場での急死の原因は、脳血管・心疾患などはわずかで、浴室内での「熱中症」がほとんどであることがわかった。
・これまでは血圧の乱高下によって心筋梗塞や脳卒中など(いわゆる「ヒートショック」)が引き起こされるといわれてきたし、今でもそう指摘をする専門家が大勢を占めるが、今回の調査はそれを覆す結果となった。(※ヒートショックとは“急激な温度変化に伴う体調不良”を指す造語で、正式な医学用語ではない。)
・本当の原因は、寒い時期は熱い湯に長くつかる日本式入浴習慣にあった。
・熱い湯によって血管が拡張して血液が体表近くに滞留し、脳にいく血流が減って意識がなくなって溺れる、つまり熱中症による溺死が最も多いということがわかった。
・特に寒い家に住む人は熱い湯に長くつかる傾向がある
・健康効果を求めつつ入浴時の事故を防ぐために「41度以下10分以内」の入浴を習慣にしよう。
冬場の「風呂での急死」8割は溺死だった! 「41度以下、10分以内」の入浴が安全(デイリー新潮)#Yahooニュースhttps://t.co/iymjno5N1Y
— まもる|脱資本主義 (@IkkaDanran922) May 2, 2021
というものです。
記事を書かれたジャーナリストの笹井さんはブログで以下のようにおっしゃっています。
入浴中の急死はヒートショックではない。
親しくしている救急の先生に何人か尋ねると、それはすでに救急の現場では常識だったよう、、勉強不足でした。
それでは根拠がなく、医学用語ではない「ヒートショック」という言葉は、一体誰がつくったのだろうと思います。覚えやすく理解しやすい言葉だから、疑いもなく広まってしまったんですね、きっと。
ヒートショックに対して抱いていた違和感はやはり間違いではなかったようです。本当に温度変化が危険なのであれば、日本の露天風呂はすべて合法的殺人施設になってしまいますよね…。
さすがにヒートショックという言葉をつくった人、広めた人も悪気があったわけではないでしょうが、今やヒートショックという言葉は高気密高断熱住宅を売るための脅し文句のようになっていて、あまり良い傾向ではないと思っています。
風呂の入り方に少し気を付けるだけで避けられる事態を、数十年のローンを組んで解決しようとしているのですから。
全国どこでも同じように作ればいい、そしてより高く売れるので業者は高気密高断熱住宅を作り続けるがいいのかもしれませんが、長い目で見ると今住宅業界が進んでいる道はあまり豊かさを生む道ではないように思います。
今のままだと最終的には3Dプリンターで樹脂の箱を作って数千万円で売り出しそうですね。
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