【天職断行の決心は、これまでの道を進めなくなった時でよい】本多信一著『人生を豊かにする「天職」のすすめ』

2017.1.19


「天職」。誰もが憧れるがほとんどの人が憧れで終わってしまう。でもそれは必ずあって、これからはそれを見つけられるかどうかが重要な社会になっていく。

そんな天職についておそらくこの世の誰よりも研究してきた本多信一さんが書いた実践書です。天職について、これでもかというぐらい語られています。
 
 

本多信一さんについて

サラリーマンをしていたのですが、会社が合わず病気になり、それをきっかけに30歳で無料職業相談業なるものを自分の天職とひらめいて会社を辞めたというなかなかのぶっ飛び具合。

(もういい。貯金が尽きたら飢え死にしよう。私の死後、カミさんには定収入のある良き男性と再婚していただこう)というひそやかな決心で結婚し相談業の世界に入った。

これだけで本多さんがどんな方なのかはだいたい伝わりますよね。要するに変わり者です。
 
 

よくある「天職探しの本」とは違うところ

「天職発見のためには自分を分析することが重要」

「何をやってみたいのか、何が好きなのか見つめ直そう」

「天職のヒントは喜びや悲しみのそばにある」

天職についての本を読んだことがある人にとっては、天職の見つけ方という部分に関してはそれほど目新しいことはないかもしれません。しかし、実際に数え切れないほどの職業相談を受けてきた人の言葉には説得力があります。この本の一番の魅力は、天職までの導き方がとってもリアルなことです。

自分の経験則だけで語っている本が多い中で、きちんと今まで見てきた人たちがどう変わっていったかというリアルな情報を得てきた人が書いているこの本はひと味違います。
 
 

天職は必ずある。だからゆっくりでもいいから絶対に見つけようぜ!

よくあるのが

「これかも!と思えるものが見つかればあとは行動あるのみ!最高の天職人生を!」

みたいな、天職バンザイ本。

この本も天職バンザイではあるのですが、そこに行き着くまでの過程が現実味があって「自分にもできそうだぞ…?」と確実に思わせてくれます。

多くの人々の内心には、(私ってこれをやればいいみたい)(僕は○○が好きだから、その道に入ったらいいと思う)というカンのようなものはあるのだが、日本人の場合、(中略)「世間体への配慮」や「普通であり続けることへの願望」のために、断行の決心がなかなかつかない。

有名企業で働く方たちは、毎日が地獄であっても、その道をなかなか捨てられないし、“変わり者扱い”されることへの恐怖から、一風変わった仕事には就く勇気が出ないのだ。

しかし、私はそのことを責める気持ちはない。

〈ノーマルな人生コースを進めるうちはそれでもよい。進めなくなったその時に、自分の天職らしきものに赴くべし〉

と私は考えている。

そうなんです。もともと変わり者扱いされることに抵抗のない人はすぐにでもこれかなと思えるものに飛び込んでしまえばいいのですが、そうでない人はどれだけ周りが「好きなことやればいいのに!」と言っても行動には移らない。日本人はそういう人がほとんどだと思います。

そういうリアルな現状を踏まえて天職への道を語る人はあまりいないように思います。きっとその人自身も変わり者扱いされることにあまり抵抗がない人種だからです。私も抵抗がない、というよりはむしろ変わり者と思われていたいぐらいの性格なので簡単に「好きなことやればいいのに!」と言ってしまいがち。

相手の性格まで考えて、「天職は必ずあるから。自分のために、自分のタイミングでたどり着こうよ。」と言えるのはこの人だけ。

これから社会人になる人、会社が合わずに悩んでいる人。まずは手元にこれを置いて少しずつ進み方を変えていくきっかけにしてほしいと思います。