日本のダメ上司たちは「TWI研修」を受けて出直しましょう
銀行で働いていたときに担当していた、メーカーの社長をされていたお客さんがしきりに言っていたこと。
「今の日本のリーダーは勉強していなさすぎる。」
「経験や感覚、根性論で指導をしている人が多すぎる。」
「それによって国力が弱まってきている。」
80歳近い方でしたが、引退した今でもいろんな人にアドバイスを求められるほど頭脳明晰、そしておしゃれでダンディ。
お客さんの中で初めて、「こんなふうになれたらいいな」と思えた方でした。
その方から教えていただいた、リーダーを育成するための教育「TWI研修」についてのお話。
TWIとは?
Training(訓練)
Within(内の)
Industry(企業)
(for supervisors)(監督者のための)
の略で、つまり「企業のリーダー向けの訓練」のこと。
発祥はアメリカ
TWIは、第二次世界大戦当時に米国の技術者たちにより広められました。
日本では、第二次世界大戦で敗戦したことをきっかけに、マッカーサーが日本の古い文化を排除し、新しい産業を確立するためにTWIトレーナーを送り込こんだのが始まりだそうです。
一般の書店では買うことのできないテキスト
1973年にこのTWI活用のための手引書が発行され、その後一部改定がありつつも、基本部分は当時から一切変わらず、その手引書がテキストとして使用されています。
「実は、今後銀行の仕事以外にも挑戦したいと思ってるんです。」
という話をそのお客さんにしたところ、
「それならこれ(TWI)は絶対に抑えておいた方がいい。うちの会社もこれをきっちりやったからうまくいったんだよ。」
と、この超失礼な当時25歳の若造にそのテキストをくださったのです。
TWIの内容について
テキストは
厚生労働省職業能力開発局監修の
JI(Job In-struction)仕事の教え方
JM(Job Methods)改善の仕方
JR(Job Relations)人の扱い方
の3冊と
日本産業訓練協会監修の
JS(Job Safety)安全作業のやり方
の計4冊が存在します。
根底にある基本理念
このTWIは、
①人間性の尊重、すなわち人間一人ひとりの存在価値や尊厳を認めるということ
②科学的接近、すなわち作業(業務)のムリ、ムダ、ムラを取り除くこと
という基本理念のもとで行われています。
つまり、従業員一人ひとりを尊重し、先入観を持たずにきちんと教えれば全員きちんとできて事業はうまくいく。
ということです。
はじめは工場の従業員などの、一定の作業がメインとなる仕事を対象として行われていたのですが、現在は営業や医療の現場などの専門職の仕事にも有用であることが実証されているようです。
「教え方が悪い」という見逃されがちな原因
「仕事の教え方」のテキストで、とても好きな言葉があります。
まさに今の日本社会に足りないもの。
“相手が覚えていないのは自分が教えなかったのだ”
これを理解できている指導者が日本にどれだけいるでしょうか?
人による実績のバラツキをその従業員のせいにする
「こういうことが出来そう(苦手そう)」という先入観を持って接する
やる気がない従業員をただ単に怒る
ミスをしたら説教をして反省文を書かせる
「オレはこうしてきた」と自分の経験を人に押し付ける
こんな指導者ばかりではありませんか?
それではうまくいくわけがありません。
一見うまくいっているように見えていても、必ずどこかにしわ寄せがいって、それが問題の原因となり続けているはずです。
これは指導者の責任なのに、ほとんどの職場では「従業員の努力不足」ということで片付けられてしまっています。
テキスト「仕事の教え方」の第一段階をご紹介
「仕事の教え方」については、四段階で構成されています。
この“はじめの段階”をご紹介しましょう。
第一段階「習う準備をさせる」
・気楽にさせる
・何の作業をやるかを話す
・その作業について知っている程度を確かめる
・作業を覚えたい気持ちにさせる
・正しい位置につかせる
これが第一段階です。どうですか?
まぁできてないと思います。
これが現状です。
もっと指導者の指導を!
人付き合いの良い人が出世する
成績の良い人が出世する
それも大事ですけどそれだけじゃダメなんです。
経験と感覚、根性論で適当に育てられる従業員の身にもなりなさい。
この年齢でこのTWIという存在に出会えてよかった。
あのお客さんに出会えたのも銀行員になったからだと思えば感謝、感謝。
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