銀行員になってわかった、不動産投資の本音

2017.10.16


不動産投資。

私も一時期憧れて、本を何冊も買って読んだり、不動産情報をチェックしたりしていました。

結局(幸い?)、不動産投資に手を出すことはなく、現在に至ります。

なぜなのか。

もちろん、勇気がなかったというのもあるかもしれませんが、銀行員で融資を担当したときに不動産屋さんから聞いた話で

「これはどうも、うまくいきそうにないな」と確信したことが大きかったです。

今日はその話について。
 
 

初めての不動産投資を検討するお客さんを担当

銀行員4年目、融資担当となって半年ほど経った頃に、

不動産投資を始めてみたいというサラリーマンのお客さんに、投資専門の不動産屋の担当者を紹介してその場に立ち会うという機会がありました。

お客さんは、

「初めてのことで何もわからないんですよ…」

「インターネットでいくらか情報収集はしているんですけど…」

という典型的なサラリーマン大家に憧れる凡人、という感じ。

親からの相続資産があるらしく、ある程度の自己資金は用意できるとのこと。

一方、不動産屋の担当者は、建前が嫌いでお客さんにも本音を言ってしまうような感じの人で、「これはおもしろい話が聞けそうだ」という期待が高まりました。
 
 

不動産屋さんが、お客さんに聞いたこと

こんな素人にどうやって対応するんだろう、などと考えていると、不動産屋の担当者がこう切り出しました。

「どんなのが好みですか?」
 

…好み。

そのお客さんが不動産そのものに対してどういう点を重視しているのか。

もちろん、何の経験もないお客さんには不動産に対する好みなどあるはずもなく、

「利回りが良いやつがいいですね…」

という返答。

それに対して不動産屋さんは容赦なく、

「基本的に利回りが良い物件というのは、業者や中国人に瞬時に買われていくんですよ。

やはり利回り以外で、ある程度自分の好みや、せめて土地勘なんかで絞っていただかないと情報提供のしようがないですね。」

と突き放す。

素人のお客さんにそれは営業としてどうなの?と思いつつ、弱者をカモにせずビシッと本音を突きつける姿勢に、心の中で拍手。
 
 

一般市場に出回るものは「余り物」

そりゃそうですよね。

誰が持っても利益を生み続けるようなお宝物件が、一般市場で誰にも買われず素人の目にとまるなんてことがあるはずがない。
 

必要なのは、自分の好み

自分が住んでいた土地がいい!

とか

学校のそばがいい!

などの何かしらの好みや得意分野で戦わないと、不動産投資は失敗します。
 
 

そもそも、不動産投資の成功、失敗とは?

利回りが何%以上で回っていれば成功?

そんな短期的な話ではありません。
不動産投資の成功、失敗は非常に簡単。

「その不動産を手放したとき、もしくは自分が死ぬときにプラスだったか」

不動産投資は、ローンを組んで物件を買って返済額と家賃の差額が利益、なんていう単純なものではありません。

税金はたんまりかかるし、古くなってこれば修繕費だってかかります。

それらを全てトータルして、「不動産収入で楽ができた」かどうかです。

金銭的にプラスでも、その労力を考えるとマイナスだった。ということになるかもしれません。
 

もっと言うと、自分の下の世代がその物件をありがたがるかも大切でしょう。

自分が死んでも不動産は残ります。

「(自分の家族から)その不動産が手放されたとき、プラスだったか」で考えるべきなのです。
 
 

その上で、成功する不動産投資とは?

私が考えるのものは、2つ。
 

代々引き継いできた土地で始める

ローンが無いですから。地主の特権。

その土地にローンを組んで建てたとしても、土地を含めて購入するより回収が早いのは言うまでもありません。
 

宝くじレベルの大化け物件

例えば、田舎の空き家。

「こんなとこ誰が住むんだよ!」

というような格安のガラクタ物件が、何かしらのブーム的なものによって価格が跳ね上がるというパターン。

ほんとのレアケース。

ただ、自分でその土地をブランド化するというのは今の時代できなくもないかもしれない。
 
 

最後のは完全に、自分が田舎の土地を買ったがゆえの、ただの希望的観測です。