知らないうちにやってくる「食料危機」。今のうちに個人でできる対策とは。
国連の推測によると、世界の人口は年に1.18%増え続けていて、2050年には90億人に達するそうです。
それにともなって、FAO(国際連合食糧農業機関)は、2050年までに60%の食料生産を増やす必要があると発表しています。
食料を求める人数が増えて、生産がそれに追いつかなければ食料の値段は上がっていく。
では、このような状況で今後も私たちは食料を確保し続けられるのでしょうか。
食料の値段は上がり続けているのに、気付かないのはなぜ?
2008年に、穀物価格は歴史的な高値を付けました。
要因はさまざまですが、この価格上昇によって食料不足に対する危機感が世界に広がりました。
しかし、その危機感が国民の意識に反映される前にリーマンショックが起きたため、穀物価格が下落して、食料価格の上昇に対する関心が一時的なものとなってしまいました。
確かに食料価格はその時点で下落しましたが、長期的に見ればその後も上がったり下がったりしながら上昇し続けているのが現状のようです。
食料価格の上昇の原因は、人口増加だけじゃない
需要が増えて高くなっているのなら、もっとつくれば大丈夫!
という単純な話ならまだよかったのでしょうが、現実はもっと複雑なようです。
原油価格の高騰によるコスト増
近年の農業は、トラクター無しでは成り立たない、完全に原油に頼った産業となりました。
今や、原油を使わない=家庭菜園です。
つまり、原油の価格が作物の価格に直結する。
原油は今のところ有限で、当然農業だけに使われるものでもありませんから、今後もその価格が上がり続けることは十分考えられます。
農業大国における干ばつや洪水などの自然現象
これだけ近代化しても、天候に左右されるのが農業。
やはり異常気象などが起これば収穫量にも影響します。
今後どれだけ技術が進歩したとしても、やはり自然現象には逆らえないでしょう。
「食料の価値」へのマネーの流入
食料が、「食べ物として」ならまだいいのですが、貴金属のように価値ある資産として見なされるようになると、その価格のさらなる上昇を期待して投機的なお金が集まります。
システムの開発により、そういう取引が簡単にできるようになったがゆえに、お金の動きはさらに大きくなりました。
純粋に食べ物として買いたい人の数は変わらないのに、値段が上がって買いづらくなる
ということになってしまいます。
しかし先進国では食料廃棄が止まらない
みなさんご存知の通り、先進国では毎日大量の食料が廃棄されています。
ですので、先進国に住むほとんどの人は食料不足に対する危機感を全く持っていません。
実際に、適切に配分と消費がなされれば、現在の食糧生産能力で全ての人に必要な量を十分まかなえる、という見解もあるようです。
結局は、政治的な問題に近い
輸入するには高いので、たとえ余ろうとも輸出を減らし、自国で食料を確保することを優先する
はたまた、輸出すると儲かるので、自国で足りていなくとも、高く買ってくれる国にどんどん輸出する
このように、食料を商品的に扱ってしまいがちな政治。
この構造を変えなくては食料問題の解決は難しいのでしょうが、政治を変えるのはもっと難しい。
政府としては、「ならば作る量を増やそう!もっと大規模に!効率的に!」と言うのが一番簡単ですから、おそらく今後もそういう方向に進むでしょう。
しかし,必要なところに分配される仕組みがないままであれば、さらなる食料廃棄が行われるだけです。
個人レベルでできること
食料が今後さらに確保するのが難しくなる(と見込まれる)
↓
お金をより多く出せる人(富裕層)がどんどん食料を買い集める
↓
一般市民に良質な食料が行き届かなくなる
という流れに、ある程度現実味がでてきました。
では、私たちはどうすれば今後も良質な食料を異常でない価格で手に入れ続けられるのでしょうか。
農家と知り合い、直接契約する
やはりここは人と人。顔見知りになって、
「いざというときもよろしくね。」
と約束しておくと安心です。
もちろん、本当にそういうことがあったとき約束を守ってもらえるかはその人次第ですが、しておくに越したことはないでしょう。
いかに信頼関係を築いておくかが重要です。
農地を持つ
農地は有限です。
「耕作放棄地」などと言われている状況もいつまで続くかわかりません。
もしかしたら、国が一気に買い取って管理し始めるかも。
それは少し極端ですが、農地の需要も食料の需要と同じように上がっても不思議ではありません。
と言っても簡単に買えるものではないですから、農家と知り合いになるほうが現実的ですね。
個人でできることなんてこの程度ですが、より多くの人がそうすれば社会現象になり、政治だって変えることになるかもしれません。
何よりまず、自分の生活を守るためにも食料危機という問題に意識を向けてみてはいかかでしょうか。
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