GDPでなく、何で豊かさを測るか
かねてより、資本主義やGDPによって豊かさを測ることに疑問を呈しているのですが、
じゃあ何で豊かさを測ればいいのか
ということについて考えていなかったので、GDPの代替はあるのかを調べてみました。
GNH(国民総幸福量)
まず出てくるのが、国民総幸福量というやつ。
国民総幸福量:GNH(Gross National Happiness)は
1.心理的幸福
2.健康
3.教育
4.文化
5.環境
6.コミュニティー
7.良い統治
8.生活水準
9.自分の時間の使い方
の9つの構成要素から成っており、面談による聞き取りで調査するそうです。
ブータンで初めて調査されて、以後、ブータンの政策に活用されている指標です。
皆さんご存じの通り、ブータンはこの指標を採用して「世界一幸せな国」として注目を浴びました。
確かに、経済発展だけでなく、精神、教育、政治、時間などの幅広い項目から成り立つ指標なので、よりリアルな豊かさを測ることができるかもしれません。
しかし、ある経済学者はこのGNHについて、
「自分は幸せだ」と言う人の割合を記録することは、単に人々の言葉の使い方がわかるにすぎない
物理学において、人々に今日の天気は暑いか寒いか尋ねるようなものである
と、その非科学的な点を批判しています。
質問の内容によって結果をいくらでも操作できるのではないか
GNHを採用している国が他にないと、比較もできない
GDPで他の国から後れをとっているからGNHを採用したのでは
ブータンを理想郷だと信じ込ませて、観光客を呼びこむためのマーケティング手法だ。
など、まぁいろいろと批判を浴びているわけです。
ブータンも苦労するねぇ。
世界幸福度ランキング
国連と米コロンビア大学が設立した「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」の世界幸福度ランキングなるものがありました。
これは2012年に開始されたもので、155カ国を対象に、
1人当たりのGDP
健康寿命
困難時に信頼できる人がいるかどうか
政府や企業における汚職からの自由度
などの項目から幸福度を調査しています。
2017年の調査では
1位がノルウェー
2位はデンマーク、3位はアイスランド、4位はスイス、5位はフィンランドと、ランキング上位はヨーロッパ各国が占めています。
アメリカは14位
日本は51位
世界一幸福だと言われるブータンは97位でした。
この指標であれば、世界で比較できますし、GNHと比べると科学的なのかもしれません。(詳細はいまいちわかりませんが…)
しかしこれにも問題が。
それは、国民にピンとこないこと。
GDPなら、適切かどうかはともかく「とにかく稼げば上がるんだな!」というシンプルさがあります。
しかし、この幸福度は結局何を目指せばいいのかがわかりにくい。
これはつまり、国としての目指すところがはっきりしないということになりますから、
GDPのようなわかりやすさも必要なのかもしれません。
「稼ごう!」の代わりになる号令は?
それをすることが本当の豊かさにつながるのか!
という号令は何なのでしょう。
遊ぼう?
休もう?
楽しもう?
どれも抽象的でピンとこないですね。
思ったより複雑な「豊かさ」
「お金で買えない豊かさがあるんだ!」なんてうやむやにせずに、誰にでもわかるような指標ができるといいのですが。
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