ノルマ以外で、銀行員をやっていて辛かったこと


ベタな話題を今更。
 

まず、銀行員をやっていて辛いこととして一番出がちなノルマについて。

 

これは正直、そんなでもない。

ノルマをクリアしようがクリアしなかろうが、給料は全く途切れず受け取れる。

ボーナスもたっぷり。

確かに上司からの「足りない分どうするんじゃい!」的な圧力はあるけども、ちゃんと自分ができることを考えて取り組んでいるのであれば、それは無視すればいいので「辛いこと」ではない。

 
 

じゃあ、私が銀行員をやっていて辛かったことは何か。

厳密に言うと、辛かったというよりかは辞めるまで納得できなかったこと、ぐらいのレベルだけども。

 
 

お客さんの頭が悪い

これは営業マンとして言っちゃいけないことナンバーワン。

お金の知識がない人たちにきちんと情報を提供して、必要な知識を身につけてもらった上で商品を買ってもらうのが銀行員の仕事なのに、

それを「客の頭が悪い」と切り捨てるのは論外だ。

 

それをふまえてもう一度言うが、お客さんの頭が悪い。

 

そう思わざるを得ない場面はどんなときかと言うと、

・「銀行さんが売ってるものなら安心」と信じ込んでいる。

これは生きてきた時代に影響されるものなので多少同情する部分もあるが、気付いている人はちゃんといる。

銀行はもうお金を預けるためのものじゃないと。

今はもう証券会社となんら変わらない、いかに手数料を取るかで経営している金融機関なのだと。

そういうことに気付かずに、「銀行さんが言うなら」と、何でもかんでも買ってくれる富裕層が本当にたくさんいる。

私が「売りたくないな(売るべきじゃないな)」と思っても、上司が割り込んで話を進めてしまったり、お客さんが「商売っ気がないねぇ」と言ってきたりで売らざるを得ないことが多々ある。

その状況を自分で変えるほどの意欲もないし、メリットもない。

 
 

・「もっと増えるやつないの?」

冷静に考えてみなさい。

そんなものあったら全員それにするわ。

かなりの期間をかければ“数字が”増える商品は確かにあるが、その期間お金を使わない約束をすることの損害は大きいぞ。

というか、その期間使わないと約束できるお金が多少増えたところで何がうれしいのか。

 

あと、最近はコンピューターが一番良い配分を計算して自動で売買してくれるなんていう商品もたくさんあるが、それらも

「人が判断してやるよりは増える確立が高いですよ」

という程度のものなので、当然上がったり下がったりする。

それがなかなか上がらないからと言って文句をたれるのは頭が悪いとしか言いようがない。

 

この辛さを解消するには、「自分もバカになる」しか方法はない。

なれなかったので、辞めた。

 
 

商品に魅力を感じない

営業マン自身が、取り扱っている商品を買わないのが何よりの証拠。

「取り扱い商品の中で、最善のものを提供してお客さんに満足してもらうのがサラリーマンとしての仕事」

と言われればそうなのたが、それは自社の利益を優先するという前提での話であって、目の前のお客さんに満足してもらうための最善の方法が他社にあるのであれば、他社商品と比べてみることを勧めるのが真の顧客本位だ。

現実問題、そんなことをする営業マンはいない。

今後もその会社の従業員であり続ける予定があるから。

私はそうではなかったので、魅力を感じない商品は売らないし、自分の運用方法についても話をした。

そして、いつまで経っても自社の利益最優先の商品開発が見直される様子もなかったので、辞めた。

 
 

褒められてもうれしくない

まだ営業のもやもやを押し殺せていた頃、タイミングが重なって凄まじい成績となった月があった。

上司や先輩からのお褒めの言葉。

 

「うるせぇ。」と思った。

「これで喜ぶほどバカじゃねぇわ!」と思った。

こちらとしては、「またつまらぬものを売ってしまった…」ってなもんで、その積み上げられた数字は自分が犯した罪の数なのだ。(言い過ぎ)

営業マンとして最大の喜びであるはずのものが苦痛であるなら、そりゃあもう辞めるしかない。

 
 

そんなわけで、今に至る。

簡単な話、ちょっと考え過ぎたわけだ。

よーく物事を考えると、いち企業の営業なんてできないと思う。

よっぽどいい会社でなければ。

 

「もっと真剣に考えろぉ!」と営業担当に指導している方がいらっしゃったら、それは速やかに違う言葉に変えた方がいい。