薪ストーブはなぜ高いのか


さて、薪ストーブが高すぎるせいで山の価値が下がるという話をしましたが、そもそもなぜこんなにも薪ストーブは高いのでしょうか。

 

まずは本体。

これは簡単で、造って届けるまでが大変だからです。(雑)

気密性、耐久性、デザイン性が求められる。そしてめちゃくちゃ重いので輸送費もかかります。

大量生産できればぐっと価格は落ちるのでしょうが、今どき薪ストーブでそんなチャレンジをする企業はありません。

簡易的なものを除けば、どうしても20万円以上はかかるでしょう。

 

 

本体は実はそんなに問題ではなくて、やっかいなのは煙突のほう。

これが本体より高額だったりします。

 

この理由は、煙突は薪ストーブ性能を左右する一番需要な部分だからです。

煙突のつくりが甘ければ、排気が逆流したり、火災の原因になることもなります。少しの排気不良でも「不良品」というレッテルを貼られかねないため、本体以上に神経を使って製作しているはずです。

煙突というと、単なる筒と思ってしまいがちですが、外気で冷やされないように二重断熱になっていたり、熱で劣化しないように加工されていたり、接続部分から排気が漏れないように工夫されていたりと、自作では到底まねできないつくりになっています。

そして単純に大きい(長い)というのも理由としてあげられるでしょう。

 

煙突も、簡易的なものを選べば数万円で十分買えるものなのですが、長時間使うことを考えると機能性や耐久性において不安な要素が多くなってしまいます。

こういうわけで、きちんとした煙突を選ぶとそれだけで50万円近くかかってしまうこともあります。

 

そして、工事費。

きちんとした煙突を選んでも、施工方法を誤るとやはり火災の原因になります。

自分で工事ができればいいのですが、薪ストーブに求められるのは「まっすぐ上に伸びた煙突」。

つまり、屋根に穴を空けなくてはいけないのです。

これはさすがにプロに任せないと、雨漏りを引き起こしてしまう危険があるので自分で行うのは難しいです。

屋根を剥がして穴を開け、煙突を通してピチッと閉める、という繊細な工事なのでここでも10万円以上かかるのが普通です。

 

このように、もし本体部分を安く手に入れられても、「制御されていない火・煙を制御するため」の部材と工事で結局50万円を軽く超えてしまうのが薪ストーブなのです。

その商品の値段というよりは、機能と安全を確保するための値段、ということです。

 

 

その機能と安全面の不確実性を承知で、自作ロケットストーブでガンガン木を燃やし続けているわが家です。