農協(JA)はなぜ嫌われる?そもそもどんな団体なの?良いところ悪いところまとめ
農業とは切っても切れない関係である農協(JA)。
「農家にとってなくてはならない存在」と言われることもあれば、「甘い汁を吸っているとんでもない団体だ!」と言われることもあって、結局何をしている団体なのかイマイチわからない。
ってことで、農協(以下、JA)が何をしていてどういうところで役立っていて、どこが悪く言われているのかをまとめてみました。
JAグループ組織図
JAは現在JAグループという組織を構成しています。
公式HPの図がわかりやすかったので、一部編集して転載。
農業にかかわりが無くても利用できるサービスもたくさんあります。
JAバンクなんかは、サザエさんを見ているとバンバンCMが流れているので聞き馴染みがあるでしょう。
ただ、JAは基本的に「組合員」(上図、中央)向けにサービスを提供する団体として運営されています。
組合員とは?
組合員とはつまり、JAに出資している人のことです。
1口5,000円で、1,000口(500万円)が限度となっています。
組合員には、「正組合員」と「准組合員」の二種類があります。サービス内容に大きな違いはないようですが、正組合員には農家でないとなれず、それ以外の人は准組合員となり、議決権がありません。
組合員になるメリットは?
組合員でなくてもJAによるサービスは受けられるのですが、組合員には別に特典があります。
JAの広報紙が配布され、お得なキャンペーン情報などが受け取れる
貯金やローンの金利優遇
組合員価格での葬儀利用
出資配当金の受け取り
などです。
あまり知られてはいませんが、出資配当金は年1.5%ほどと比較的高く、投資対象として選ぶ人も少なくないようです。
JAが悪く言われる理由とは?
最近になって、「JAは農家の敵!」「JAが日本の農業を衰退させている!」なんてことが言われ始めましたが、ここまで見てきた中ではそんな要素が見当たりません。
一体どこが原因でJAは農家から、世間から悪く言われ始めたのでしょうか?
金融部門が儲けすぎている
「農協について」平成29年11月農林水産省
上図の通り、JAは金融部門(信用・共済事業)でもっているようなものであり、預金額もメガバンクに迫る規模です。
このことから、「農業よりも金融部門が儲かることを重視して経営されている」と見られてしまうのでしょう。
具体的には、農地転用(例:農地を商業施設建設のために高値で売る)によって生まれたお金で預金額を増やしたり、収入が低い農家よりも、農業以外の収入が多い人を取り込むような施策をしたりしている、などと言われているようです。
農業の発展とJAの発展がどんどん違う方向になってきているということですね。
営業の質が低い
昔は特に、農家という情報弱者の多い客層を相手にすることが多かったため、知識が乏しいまま営業に出されてノルマ達成のために必要ない保険に入らせたり、間違った説明をしていたりすることが多かったようです。
また、農業の現場を知らないのに指導してくるのが腹立たしいという声も多いです。
大きくなり過ぎた
農家の数は確実に減っていますが、組合員の数は増えており(平成22年には、准組合員数が正組合員数を上回った)、金融部門の貢献もあってJAグループはかなり大きい組織となりました。
それにより、農薬や肥料の流通を独占して価格競争から逃れているという見方も出てきました。
インターネットの普及により一時期よりはマシになっているのかもしれませんが、高齢者が多い農家は今でもやはりJAで買う方法しか知らないという人が多いようです。
単に、大きい組織=儲かっている=ずるいことをしていると思われているだけというのもあるかもしれません。
JAとの今後のつきあい方
インターネットをなんなく使える世代の人にとっては、JAは特につきあう必要のない組織だと言えます。むしろ、つきあわない方がより自由に活動できるという場面も多くあるでしょう。
言い換えれば、JAは今後かなり厳しい状況に追い込まれる可能性が高いです。
頼るものではなく利用するものとして認識すれば、それほど悪い組織ではないのですが。
「あれ?JAって別にいらなくね?」という気づきにJAがどこまで耐え得るか。
規模が大きいだけに、世の中にどんな影響を与えることになるのか楽しみです。
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