これからの産直市場の経営に求められる条件とは【交流不足の産直市場】


産直市場は、兼業農家にとってはなくてはならない存在です。

JAに出せない量・質の作物を消費者に届ける。地域の経済を回すという重要な役割を果たしています。

 

もちろんブチファームも産直市場にはお世話になっています。集客の心配がいらず、販売管理もシステム化されており、非常に便利。

 

しかし不満もあります。

 

今日はその産直市場への不満と、これから社会に必要とされるであろう理想の産直市場について考えてみます。

 

「産直市の維持と改革による農の“基 もと ”づくり・地域の“核 かく ”づくり」
―自主改革に向かって皆で改善し続ける産直市ガイダンスブックー  全74ページ(平成 28 年 11 月)
島根の産直市経営改革ガイダンスブック編集委員会

を参考にさせていただきました。

 

 

価格破壊を起こす産直市場

産直市場に出品する多くの農家さんは、お小遣い稼ぎのために自分の畑で野菜を育てているお年寄り。

つまり、利益追求をしているわけではない人たちです。

 

ですので、金額設定が悪い意味で適当です。

「安くしないと売れないだろうから」と、利益なんて出るはずのない金額で出品してしまう人が数多くいます。

 

利益を出そうと栽培して出品している農家の横でそれをされてしまうと、農業が仕事として成り立たなくなってしまいます。

確かに出品者が価格を自由に設定できるのが産直市場の魅力なのですが、第一に「農業という産業を活発化させるためのものである」という認識を出品者全員で持つ必要があると思うのです。

 

お年寄りの家庭菜園に負けない品質・量を出したり、出品者間で話し合うことによって解決することもできなくはないですが、やはり産直市場の運営側できちんと適正価格を提示して、ときには出品者に声をかけるという対応もしていかなくてはいけません。

 

 

交流ができない場所

これは特に重要な問題だと思います。

現在の産直市場では、農家が出品し、それを消費者が購入する。それだけです。

地域に根ざしているとうたってはいても、地元のものを中心に扱っているというだけ。

これでは個人で出品が可能な品ぞろえの悪いスーパーです。

 

 

産直市場というのは、単に売るためだけの場所ではなくて、地域住民の交流の場としても機能してこそ真の存在価値が発揮されると思うのです。

 

まずは生産者と消費者の交流。

普通の産直市場では、出品時に少し声をかけてもらったりする程度で、特別交流の場が設けられることはほとんどありません。

ブチファームでは少しでも自分たちのことを知ってもらおうと思い、ポップやレシピに注力していますが、消費者からの声を聞くのはなかなか難しいのが現状です。

 

産直市場側で、何かしら消費者からの声を聞ける場を設けたり、ポップやレシピをつくることが苦手な出品者の手助けをするなどの工夫も必要です。

 

 

次に消費者同士の交流です。

「あの人が出している野菜はどうだった」から始まり、料理の仕方、さらには世間話をゆっくりできるような環境づくりができれば、より消費も活発になるでしょうし、お年寄りにとっては元気の源にだってなりうると思います。

産直市場でおしゃべりをするために外に出る、という習慣ができれば地域もさらに元気になるはずです。

 

そして、生産者同士の交流。

産直市場だからといって、品質の悪いものを出すようではいけません。

生産者同士の交流を活発にして、より良い栽培方法や出品の仕方を共有することによってさらに良い市場へとレベルアップを図るべきです。

それによって生産が活発になれば、耕作放棄地の活用にもつながってきます。

 

 

買い物弱者への配慮

これも産直市場だからこそ挑戦できる分野です。

買い物弱者は同時に情報弱者でもあります。

そこで産直市場は、商品と情報をそこへ届けるということも積極的に行っていくべきです。

 

宅配や送迎は、採算が取れないという話もよく耳にします。

しかしそこで諦めてしまっては地域に根ざした産直市場を運営する価値薄くなります。

一歩踏み込めば、携帯や保険に必要以上の料金を払わされているお年寄りにアドバイスして出費を減らし、その中から出資していただくなどという方法も取れると思います。

真摯に地域のことを考えて運営すれば、方法は他にもたくさんあるはずです。

 

 

 

安芸高田市では来年の春に新しく大型産直市場(道の駅)がオープンする予定です。

大きさやきれいさだけではなく、これらの要素をどれだけ満たしたものになるでしょうか。地域よりも外に目が向いている施設になるような気もしますが…。

今後はこういった流れが増えてくるのでしょうか。