「良い家」とは何か。高気密高断熱住宅は本当に良い家か。


シンプルですが、非常に難しい問題。

 

万人にとっての"これ"という正解の家は当然無いのでしょうが、万人に当てはまる「良い家の要素」はあるはず。

という考えのもと、「良い家とはどんな家か」について書いてみます。

 

まず、危険な場所に建っていないこと。

当たり前じゃん、と思うかもしれませんが、これが結構あるんです。無理な開発によって「そんなところに!?」という場所に建っている家が。

切り崩した山のそば、川のそば、埋め立て地など。

売る側はもっと儲けるために、消費側はより安い土地を求めてそんなことになっているようです。

「家を売ること」「家を買うこと」が目的になってしまっているんですね。

 

 

次に、経済的負担が少ないこと。

いくら安全で住み良い家でも、経済的な負担が大きくてそれが不安やストレスの原因になるようでは良い家とは言えません。

これも満たしていない家庭が結構多くて、ローンが借りられるからと言って安易に家を買ってしまうのは考えものです。

 

これら2つの要素に共通して言えるのは、家の目的は何かをきちんと考えるべきだということです。

家族が楽しく暮らせる場所をつくることが目的で、人と比べて見劣りしないためではありません。

 

家は確かに人生の豊かさを表す大きな要素なので、どう見られるかが気になって、周りと比べてしまいがちです。

ですが、モノとしての家が良いだけで暮らしが楽しくなることはありません。周りと比べてキレイで高性能な家が本当に良い家、ではないのです。

 

 

そして3つ目、これはとても重要なのですが見落とされがちな要素。

健康被害がないこと。

 

少し前にも記事にしましたが、

 

住んでいるだけで健康被害のある家というのは当然良い家とは言えません。

ここで重要なのは、その被害を未然に防ぐことができるかどうかという点です。

 

日本に昔からある家はヒートショックを起こす危険な家だという主張がありますが、これは脱衣場を暖めたり、足からゆっくり浸かるなどの方法で未然に防げる被害だと言えます。

防げるかどうかを無視してしまうと、階段があるだけで危険な家ということになってしまいます。

 

最近、高気密高断熱こそが良い家だという風潮があります。

家中の温度差を少なくするために外気をシャットアウトして断熱し、常に機械で換気を行うことで快適で安全で省エネな家にしようという考え方です。

 

これこそが良い家のように思えますが、実際はそうとは言いきれません。

高気密高断熱の家は、「未然に防げない健康被害」を生み出す可能性があるからです。

 

高気密高断熱の家というのは、施工が完璧で、劣化しない前提で成り立っています。

断熱材や防湿シートが、一切の破れや隙間なく家全体に施工されていて初めてその機能を果たしてくれます。

もし施工するのがロボットならば前提通りいくかもしれませんが、実際に施工するのは人間です。

一切隙間をつくらず、ビニールに一切傷をつけずに施工することなんて可能なのでしょうか。

一生に一度の自分の家なら細心の注意を払って施工するかもしれませんが、仕事として何件もやる中で、本当に完璧な施工をこなし続けるなんて不可能ではないでしょうか。もし完璧な施工を行ったとしても、家は劣化します。定期的なメンテナンスは誰が保証してくれるでしょうか。

 

施工不備によって建てられた完璧でない高気密高断熱住宅は、空気や湿気のコントロールが効かなくなるため、安全でないどころかとてつもなく危険な家へと変貌します。

汚れた空気が留まり続ける、湿気が入り込んで外に出なくなり、カビが繁殖するなど、100点だったはずの家が一気に0点です。

これの怖いところは、体に何らかの症状が出るまで気付けないことです。そして、気付いたとしてもすぐに対処できないのです。

日本の気候という”自然”をコントロールしようとする高気密高断熱住宅は、今の技術ではまだ無理があるのかもしれません。

 

 

良い家とはどういうものなのか。家づくりは進化し続けていますが、それは良い家に向かっているのか。

まだまだ勉強が今日が必要な問題です。