ロケットストーブの最大のデメリットは熾火をつくれないこと


またまた季節と逆行した薪ストーブの話。

薪ストーブに求められる機能とは、薪を効率良く燃焼させて、その熱を室内へより多く放つことです。

そのために必要なのは、煙突から外に出す熱(排熱)をできるだけ少なく抑えること。

なので私は、煙突でできるだけ放熱させてから排気をするロケットストーブに魅力を感じていたわけです。

 

が、最近重要なポイントに気が付きました。

それは、熾火(おきび)です。

 

熾火とは、炎はあがらず真っ赤に光ながら燃焼している状態のこと。

薪ストーブの暖房効率を上げるには、この熾火が不可欠なのです。

 

先ほど排熱を最小限にすることが必要と書きましたが、それを行うためには薪ストーブ内の空気の流れをなるべく遅くすることが大切です。

遅ければ遅いほど、室内で放熱する時間が長くなるからです。

 

だからと言って、ただ吸気を絞ってやればいいというわけではありません。

燃焼に適した吸気が行われないと、不完全燃焼を起こしてしまい十分な熱を生み出すことができないため本末転倒です。

 

ではどうすれば空気の流れを遅くすることができるのか。

 

ここで、熾火です。

熾火は少ない空気で発熱を持続してくれるので、吸気を絞っても不完全燃焼にならず、結果煙突へ逃げる熱量を減らすことができます。

 

そして最も重要なポイントは、熾火はとても暖かいということです。

 

そもそも薪ストーブの温度を上げるのはボーボーと燃える炎ではなく、熾火なのです。

鍛冶屋が鉄を打つときに炎ではなく熾火を使うのはそのためです。

 

つまり、薪ストーブはいかに熾火をつくるかが重要だということです。

 

 

長い前置きでしたが、この記事で言いたかったのはロケットストーブは熾火をつくるのには向いていない仕組みなのではないかということです。

ロケットストーブはその名の通り、勢い良く空気を流すことで完全燃焼させる仕組みをとっており、空気をゆっくり流すことはできないので熾火で暖まることができないのです。

その代わりに長い煙突で放熱させる、というのがロケットストーブの暖房方式なのですが、それではやはり熾火の強烈な熱さには敵わず、家の床や壁を暖めるには力不足と言わざるを得ません。

 

 

というわけで、薪から暖房に使うための最大限の熱を引き出すにはロケットストーブではなく薪ストーブが向いている、というのが現時点での結論です。