インフレ対策のために株式投資するべきという嘘


物価がどんどん上がっています。ものによっては1.5倍ぐらい平気で上がっていますね。

そうなると世間では「預金が目減りする!」「インフレには株式投資!」という声が聞かれ始めます。

確かにそこだけ聞くと納得してしまうのですが、よく考えるとこの主張は信じるべきではないことがわかります。

 

理由は簡単。イメージしてみてください。

例えば物価上昇の影響で食費が月4万円→月6万円(1.5倍)になりました。

もともと対策として貯金の一部を株式投資に回していた(500万が1.5倍の750万になった)のでそれらを売却して食費にあてることで乗り越えられました。

これがインフレ対策のための株式投資のストーリーですよね?

 

こんなこと、あります?

 

このストーリーのおかしなところは

物価上昇に株価が簡単についてきてくれるという妄想に頼ってしまっている点

そもそも投資に回していた貯金で物価上昇など余裕で吸収できるという点です。

 

物価変動に忠実に対応してくれる株を見分けることは不可能です。そんなものあればとっくにみんな預金をそこにつぎ込んでいます。(物価変動国債というものは存在するが、それも完全ではない)

しかも、今起きている物価上昇は好景気に伴うものではないので、株価の動きとはほとんど関係ありません。

好景気に伴う物価上昇、いわゆるインフレなら無意味とまでは言いませんが、ふたつめの理由を考えればやはりそこまで意味をなさないでしょう。

 

ふたつめの理由。わざわざ株式などに手を出さなくても、投資に回そうとしているその貯金で物価上昇に対応できるはずなのです。

投資に回すお金は預貯金の一部で、そこから生まれる利益はそのまた一部。そんな額で助かるのなら、もともとある預貯金で十分対応可能なのは誰でもわかる計算式ですよね?

というか、株で利益を出さないと生活が苦しくなるような生活水準であるとしたら投資うんぬんではなくまずそこを改善するべきです。

さらに言えば、物価上昇中のどのタイミングを株の売り時にするのかの判断ができないので、実際に投資利益を物価上昇と相殺することは難しいでしょう。「株を売った後も物価は上がり続けるかも」と考えているうちに値下がりして結局売れずじまい、ということになりかねない。

 

「株を保有している間、数字上資産の目減りがなかっただけで実際の暮らしには何の影響もなかった」というのが株式投資によるインフレ対策のリアルなのです。

 

結局、「インフレ対策で株式投資を」は余剰資金を増やしたり減らしたりして遊ぶ資本主義ゲームであり、業者が稼ぐための口実に過ぎない。

ご理解いただけたでしょうか?

 

専業トレーダーでない限り、現金主義でも全く問題ないと思います。投資より節約(というか無駄なものを買わない)が大事。

節約という行為は絶対に負けない投資。

さらなるスタグフレーションに備えよ。


経済